Mac 環境でのゆっくり動画作成は茨の道
今回は Mac 環境でゆっくり動画を作成する方法について解説していきます。
(記事が長くなってしまったので、今回は ゆっくり音声
に関する内容を書いていきます。)
私自身、ゆっくり動画も作っていますが、正直 Mac 環境でのゆっくり動画作成は茨の道です。。
もし Windows 環境もお持ちの方は、Windows 環境で動画を作成したほうが、余計な時間をかけずに済むのでおすすめです。
それでも Mac 環境でゆっくり動画を作りたいんだ!もしくは、Mac 環境しか持っていないんだ!という方に向けて、なるべく丁寧に Mac 環境におけるゆっくり動画作成方法を今回はお伝えできたらと思います。
ちなみに私自身、Mac 環境でのゆっくり動画作成についてはまだ最適解を見いだせていません。
(あらゆる方法を試しては撃沈を何度も繰り返してきました...)
そのため、今後より便利な方法が見つかり次第、記事の内容も更新していくと思います。
気が向いたときにコチラのページを時折覗いていただけたら幸いです。
ブラウザ上でゆっくり音声の再生・ダウンロードができる、ゆくも!がおすすめ
ゆっくり動画を作成するためには、まずはゆっくり音声が必要になると思いますが、ブラウザ経由でゆっくり音声の再生・ダウンロードができる、ゆくも!というサービスがあります。
ブラウザ経由なので、Mac 環境でも問題なく利用できます。
無料で利用することができ、ゆっくり音声の種類も豊富に用意されています。
画面上のテキストフォームに喋らせたい音声を入力し、再生ボタンを押すことで再生、ダウンロードボタンを押すことで実際に再生される音声が MP3 形式でダウンロードできます。
現時点で Mac 環境でゆっくり音声を利用するなら、ゆくも!を利用するのが一番楽だと思います。
アクセスすればいつでも利用可能で、ソフトをインストールする必要もありません。
ゆくも!を商用利用する上での注意点
ゆくも!は無料で利用できますが、生成した音声を営利目的で利用するためには使用ライセンス(商用ライセンス向け)を購入する必要があります。
例えば YouTube で動画作成を行う場合、YouTube で収益化した動画で利用する場合にはこのライセンスの購入が必要となります。
この商用ライセンスの料金については 年間6,380円
となります。
収益化できている状態を考えると、それほど高くないライセンスだと思います。
また、ライセンスページの説明を見ると、音声合成製品ライブラリAquesTalk、AquesTalk2、AquesTalk10すべてを使用でき、アプリに応じて複数の使用ライセンスを購入する必要がありません。
と書かれているので、ライセンスの利用条件としてはユーザにも優しい内容となっていると思います。
というわけで、YouTube で収益化を達成し、広告を貼った動画でゆっくり音声を利用する場合は、この商用ライセンスも購入しましょう!
また、ゆくも!自体には Amazon のアフィリエイトリンクがページ下部にあるのですが、ゆくも!作者への支援の意味も込めて、このアフィリエイト経由で Amazon で購入すると良いかもしれません。
(私は ゆくも!
とはなんの関係もありませんが、動画製作者として、またサイト制作者として、日々のサイト運営について頭が下がる思いです)
Mac 環境のための動画作成用ゆっくりボイス、MYukkuriVoice
次はゆっくり音声のエンジンである AquesTalk を利用した macOS 向けの動画制作向けに調整された合成音声生成アプリケーション、MYukkuriVoice です。
さきほどの ゆくも!
はブラウザから利用できる Web アプリケーションでしたが、こちらは Mac で扱えるデスクトップアプリケーションとなっています。
使い方については ゆくも!
と同じく、入力した日本語メッセージから音声ファイルを作成できます。
対応している macOS のバージョンについては、macOSX El Capitan (10.11)、macOS X Sierra (10.12)、および、 macOS High Sierra(10.13)以降に対応しています。
とあり、現時点での macOS の最新バージョンBig Sur(バージョン11.3)
でも問題なく動くことを確認しています。
MYukkuriVoice のダウンロード・インストール方法
MYukkuriVoice は GitHub というソフトウェア開発者が利用するプラットフォーム上で開発されています。
ここでは、MYukkuriVoice をダウンロードして、実際に Mac 上で利用するところまでを解説していきます。
MYukkuriVoice のページにアクセスし、ダウンロード
を選択します。
そして、赤枠内の URL をクリックします。
すると、GitHub のページに飛ぶので、更に赤枠のボタンを押します。
するとソフトウェアのダウンロードが始まります。
ダウンロードした ZIP ファイルをクリックして解凍すると、下記のようなフォルダが開くので、赤枠のアプリケーションをクリックします。
最初に開くときに下記のような下記のようなダイアログが出てきますが、開く
を押して問題ありません。
すると、アプリケーションのウィンドウが開きます。
ためしに上のキャプチャのように文字を入力して、command + p
を押してみてください。
入力したテキストが ゆっくり音声
で再生されるはずです。
このように MYukkuriVoice
ではショートカットコマンドが色々と用意されており、これらを駆使してスピーディに作業ができるのが魅力の一つ。
MYukkuriVoice
も無料で利用できるので、ぜひ一度その便利さを体験してみてください。
MYukkuriVoice のライセンスについて
ゆくも!
同様に MYukkuriVoice についても商用利用を行う上での注意点が存在します。
これは MYukkuriVoice というよりは、ゆっくり音声エンジンを利用する際のライセンスとなるので、ゆくも!と同様のライセンスが必要です。
ゆくも!のときと同様に、下記のライセンスを購入して利用するのをお忘れなく。
ゆくも!と MYukkuriVoice を使い分けて便利なゆっくり音声ライフを!
さて、ここまで ゆくも!
と MYukkuriVoice
という2つのゆっくり音声再生のためのアプリケーションを紹介してきました。
私はゆっくり音声を利用した動画作成については、最初にあげた ゆくも!
を利用しています。
ですが、 MYukkuriVoice
はショートカットコマンドを利用して、別の作業をしながらでも柔軟に利用できることから、ゆっくり音声を用いたライブ配信ではこちらを利用しています。
このように利用シーンに応じて使い分けるのも、一つかと思います。
まだまだ Mac 環境でのゆっくり音声動画作成については、色々と考える余地がある状況ですが、現段階での個人的なベストプラクティスは以上となります。
ゆっくり音声ツールを自作したい(余談)
ここからは余談となります。
今回ご紹介した2つのアプリケーションがあれば、ゆっくり音声を用いた動画作成は Mac 環境でも行なえます。
が、私としてはさらに実際に喋った声を音声認識でテキスト化 → ゆっくり音声で再生
というツールがほしいと考えていました。
これについては主にライブ配信用途での利用を考えています。
さて、このツールについて調べたところ、残念ながら Mac 環境ではこの要件を満たすソフトはなさそうでした。
ですが、上に書いた MYukkuriVoice
の作者の方が AquesTalk ライブラリを JavaScript から実行できるようにする Mac 環境用のライブラリを作成して公開していました。
これを使って、うまく作れないかと思い、一時期色々と試行錯誤していたのですが、つまづきまくり、まだ完成には至っておらず...最近は手つかずのまま。
Mac 上で自分の喋った声を音声認識して『ゆっくり』の声に吹き替えてくれるツールを作りましたので、下に追記しました。
Mac 上で自分の喋った声を音声認識して『ゆっくり』の声に吹き替えてくれるツールを作りました。
GitHub の開発リポジトリを公開したので、現状はこちらから利用して頂く形となります。
yukkuri-hukikae-on-mac - Web Speech API を用いて認識した声を、ゆっくりの声に吹き替えて再生するための Mac 用のソフトウェアです。
まだまだベータ版の粋を出ておらず、Mac 上に Node.js 環境を構築することが前提になっていたりと、色々と導入までの敷居は高いですが、興味ある方は触ってみていただけたら幸いです。
本来であれば、ソフトウェアとしてパッケージして提供できればベストなのですが、パッケージングの部分で詰まってしまい実現に至っておりません。
が、動画自体は想定したとおりに動くようになったので、一旦無骨な状態ではありますが、開発しているリポジトリを公開しようと思った次第です。
ゆっくりの音声エンジンとして利用される AquesTalk10
と AqKanji2Koe
の評価版をダウンロードすれば機能は制限されますが、無料で動作を試すことは可能です。
ぜひ触ってみていただけたら幸いです。
上記リポジトリを経由したセットアップ方法なども追って、追記していこうと考えています。
追記: こちらのページにセットアップを記載しましたのでご確認ください。
ゆっくりボイスを利用したツール作成に関するライセンスについて
なお、このようにゆっくりボイスを使ってゆっくり音声ツールを自作したいという方は、事前にライセンスに関する内容を確認しておく必要があります。
このゆっくりボイス自体は株式会社アクエストが提供している AquesTalk という規則音声合成エンジンを用いて作成されています。
そして、この AquesTalk という音声エンジンを利用する際に考えるべきことがライセンスの問題です。
AquesTalk では評価版という形で一部の機能が制限されたデモ的な立ち位置のソフトウェアを無償で公開しています。
ただ、実際に開発、または配布などを行っていく場合は利用用途に適したライセンスを購入する(または契約)する必要があります。
ゆっくりボイスを個人用途で利用したい場合は無料で利用可能
まず営利目的ではなく、個人用途で利用したい場合は無料で利用可能となります。
上のページの個人利用ライセンス
という項目にある使用ライセンス
を下に引用します。
個人利用対象の方が当社製品を含んだアプリ(たとえば SofTalk など)を使用(実行)するにあたり、使用ライセンスの購入や、当社への連絡は必要ありません。
ただし、個人利用であっても個人事業や会社や学校などでの利用は、この個人利用
には当たらないので注意が必要です。
(この場合はライセンスの購入が必要となるかと思います)
ゆっくりボイスを使ったツールを作成したい場合
ゆっくりボイスを使ったツールを作成したい場合、上で紹介したライセンスページに個人開発ライセンスについても記載されていましたが、この個人開発ライセンスを申し込む必要があります。
ライセンス料自体は無料ですが、発行手数料として 1,980円
がかかります。
該当箇所を下記に引用します。
フリーウェアの開発を行うなど製品版の開発キット(SDK)の入手を希望される場合は、オンラインストア(AQUEST Online Store)から開発ライセンス(個人利用)をお申し込みください。
ライセンス料自体は無料ですが、発行手数料(1,980 円)を申し受けます。お申し込みの際は、製品名とプラットフォーム(OS 種類)をお間違えにならないようご注意ください。 SDK のバージョンは、お申し込み時に公開中のバージョンのみです。決済完了後2~7日以内にライセンス証を郵送でお届けします。このライセンス証に製品版 SDK の入手方法、または、開発ライセンスキーが記されています。
実際にこの開発ライセンスを申し込む場合は、下記のページから行います。
ゆっくりボイスを使ったツールを配布したい場合
もしこれらのゆっくりボイス(AquesTalk)を用いてフリーウェアを開発し、インターネット上に公開したり第三者に配布する場合、AQUEST 側で定めている個人利用における無償配布規定
に従うことで、無償で配布することができます。
また、事前にアプリ名やアプリの概要を AQUEST 側に伝えた上で、AQUEST から許諾を得る必要があることに注意が必要です。
そのため、ゆっくりボイスを用いたツールの作成・配布を考えている方は、これらの期間も踏まえた上で開発工数を見積もる必要があります。
具体的な個人利用における無償配布規定
については、AquesTalk - 個人利用ライセンス 内の 個人利用における無償配布規定
という項目を参照してください。
おそらくですが、こちらのページでも紹介した MYukkuriVoice
はこちらの規定に沿った形で無償で配布しているのではないかと思います。
Mac 環境のための動画作成用ゆっくりボイス、MYukkuriVoice
ゆっくりボイスを用いたツールを営利目的で利用したい場合
上の方にも書いたとおり、広告ありの YouTube などで利用することを想定したツールを作成し、利用する場合はこちらを購入する必要があります。
厳密にはツール作成だけなら購入する必要はありませんが、それを広告付きの YouTube など、営利目的で利用するタイミングでこちらのライセンスは購入する必要があります。
(今回は YouTube 動画作成のみに絞って話していますが、事業目的・社内での利用目的など、すでに明確に営利目的での利用が想定されている場合は実際にこれらの事業で利用を開始する前にこちらのライセンスを購入する必要があります)
ゆっくりボイスに関するライセンスで困ったら問い合わせするのが確実
以上、AquesTalk を用いた開発に関するライセンスについて書いてきましたが、もし少しでも利用について不明な点があれば AQUEST 側に問い合わせてみるのが一番確実かと思います。
ライセンスに関する不安はきっちり取り除いた上で開発に全力で取り組んでいきたいところですね。